研究紹介 / Reserch


 ◆ 高電圧絶縁技術に関する研究 (山下教授)


 ◆ 放電利用による環境浄化に関する研究 (藤島准教授)


 ◆ 高電圧パルスパワー技術を利用した研究 (古里助教)


 ◆ 高電圧絶縁技術に関する研究 (山下教授)

1. 気体/固体複合絶縁物の研究開発

 電力系統を保護・制御するための
開閉装置(スイッチギヤ)には,絶縁耐力が優れているSF6ガスが装置内に重鎮されて使用されます.しかし,SF6ガスは温暖化係数がCO2の23,900倍あり,排出規制ガスに指定されています.近年,SF6ガスフリーの絶縁技術の一つとして,機械的なスイッチを有する固体絶縁技術が開発されています.しかし機械的なスイッチの可動部は固体絶縁部と空気が触れるため,絶縁耐力が弱くなってしまします.
 本研究では固体絶縁システムの絶縁耐力を強めるために,固体絶縁物に電極を埋め込んだ
「気体/固体複合構成」における絶縁設計を行い,よりコンパクトな固体絶縁装置を開発することを目指しています.



気体/固体複合構成
円盤上の沿面放電


2. 局部放電のメカニズムの解明*1

 電線とその支持物を絶縁するための
「がいし」は,農業地域における肥料・農薬,工業地帯における煤塵,臨海地域における塩害によって絶縁表面が汚損・湿潤を受け,局部放電が発生し,表面抵抗が低下して絶縁破壊を起こしてしまいます.このように,様々な環境要因によって影響を受けるため,現象が複雑となり,解明が十分に進んでいません.
 局部放電のメカニズムの解明は,
「がいし」のような外部絶縁機器の適正化・高度化につながるため,放電メカニズムの解明が望まれています.



がいしのフラッシュオーバ
の様子

*1科研費:基盤研究C
 https://kaken.nii.ac.jp/d/p/24560338.ja.html




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1. スクリュー型オゾン発生器の開発

 オゾンは,強力な酸化力を持ちながら残留毒性がないという特徴を持つため,近年,半導体表面のドライ洗浄や窒素酸化物にような有害大気汚染物質の処理など様々な分野で活用されています.
 本研究では,「野外でも取り扱いが簡単でコンパクトかつ省電力で効率よくオゾンを生成すること」をコンセプトとして,大気圧バリア放電技術を利用した
スクリュー型オゾナイザーを開発しています.


スクリュー型オゾナイザーの外観


2. オゾンによる土壌殺菌の研究

 これまで土壌殺菌在として使用されてきた臭化メチルは,オゾン層を破壊するため臭化メチルの代替材が必要とされています.
 本研究では,臭化メチルの代替として放電技術によって生成したオゾンの利用を提案しています.具体的には,汚損を土壌中に注入し
オゾンによる殺菌の効果を調べています.


(a)オゾンなし        (b)オゾンあり

培養から24時間後の寒天培地上のコロニー(微生物の様子)




◆ 高電圧パルスパワー技術を利用した研究 (古里助教)      TOPへ

1. 超臨界流体中の放電物理現象の解明と応用*2

 超臨界流体は物質の圧力と温度を上昇させることで転移する高密度流体であり,気体並みの高拡散性,液体並みの高溶解性を兼ね備えています.二酸化炭素と水は自然界に普遍的に存在するため環境調和性が高く,環境負荷の高い有機溶剤の代替となりうる超臨界流体として期待されています.特に,
超臨界二酸化炭素は抽出・分離.洗浄などの多くの分野で研究がなされており,具体的には,天然物質から化粧品・医薬品・香料などの有用物質の抽出,半導体の洗浄プロセス等の分野で活発に研究開発が行われ,実証実験を経てプラントを提供する企業も多数存在しています.
 
本研究では,超臨界流体中の放電物理現象に着目しています.歴史的に見て,気体や液体中の光電物理現象は1世紀近く研究されていますが,超臨界流体中ではほどんと研究されていないため,学術的に非常に興味深く,様々な応用の可能性を秘めています.
 最新の研究課題では,超臨界二酸化炭素中でアーク放電を生成.制御し,その現象を解明することで地球温暖化係数の高い
SF6の代替ガスとしてパルスパワースイッチや遮断機等の電力機器分野や材料合成分野への応用を目指しています.

*2科研費:研究活動スタート支援 https://kaken.nii.ac.jp/d/p/268890488.en.html
*2公益財団法人 東電記念財団 研究助成


物質の状態相図


超臨界二酸化炭素中の
ストリーマ放電(シュリーレン画像)


超臨界二酸化炭素中の
パルスアーク放電(シュリーレン画像)



2. 水上パルス沿面放電の複雑性に関する研究

 
水上沿面放電はOHラジカル等の活性種が発生する事から,難分解性有機化合物等を含む汚水の水質改善バラスト水の処理に有用と考えられています.一般的に,放電が複雑であればフラクタル次元も高くなります.また,放電が高い複雑性を有すると化学反応が活性である放電先端部が多いことを意味します.冒頭に述べたように,沿面放電と水上の反応によってOHラジカルが発生していることが調べられているため,放電のフラクタル次元を増加させることによりその反応も多くなることが期待されます.
 フラクタルは数学の世界の話で,あまり物理現象との関連性は研究されていません.
放電のフラクタル次元を「博物学的」に調べるのではなく,物理化学現象との関連性を探求します


水上パルス沿面放電