長崎大学 工学部 工学科 電気電子工学コース

福永・中野研究室

装置紹介

私たちの研究室で使用している装置について簡単に紹介します.

磁気特性計測
名前振動試料型磁力計
(VSM:Vibrating Sample Magnitometer)
メーカ玉川製作所
概要磁性材料の磁気特性を測定する装置.主に,ヒステリシスループ(M-H曲線)の測定に利用していますが,リコイル曲線,熱磁気特性(M-T曲線)等も測定できます.
印加磁界25 kOe(有効ギャップ 30 mm),30 kOe(有効ギャップ 14 mm).電磁石間のギャップを変化させることで最大3 Tの磁界を試料に印加できます.ちなみに,1 kOeは約80 kA/m.
温度範囲-196 ~ 900 ℃程度
校正標準試料Niを用いることで薄膜,円柱等の各形状における磁化値のキャリブレーションを行っています.
備考写真では見えませんが,VSMの左側に排気系を備えており,高温下での磁気特性測定時の試料の酸化を抑制します.ディフュージョンポンプで10-6~10-5 Torr(10-4~10-3 Pa)まで,排気できます. トルクメータとしても利用できます.
名前超電導式振動試料型磁力計
(Superconducting Type of Vibrating Sample Magnetometer)
メーカ玉川製作所
形式TM-VSM7570-SMS
概要磁性材料の磁気特性を測定する装置.通常の電磁石式のVSMでは,磁気飽和させることができないような,大きな印加磁界を必要とする材料のヒステリシスループ(M-H曲線)の測定に利用しています.
印加磁界最大7.5 Tの磁界を試料に印加できます.
温度範囲-196 K ~ 473 K, R.T. ~ 1173 K
校正標準試料Niを用いることで薄膜,円柱等の各形状における磁化値のキャリブレーションを行っています.
備考10 mm角の立方体・膜状試料(R.T.のみ),5 mm角の立方体・膜状試料(-196 K ~ 473 K, R.T. ~ 1173 K),粉末試料を測定できます.
名前パルスB-Hループトレーサ
(Pulse BH Curve Tracer)
メーカ日本電磁測器
形式PBH-1000
概要磁性材料の磁気特性を短時間に測定する装置.通常の電磁石式のVSMでは,磁気飽和させることができないような,大きな印加磁界を必要とする電気抵抗率の高い材料のヒステリシスループ(M-H曲線)の測定に利用できます.
印加磁界最大8 MA/mのパルス状の磁界を試料に印加できます.
温度範囲R.T.
校正標準磁石やNiを用いることで磁化値のキャリブレーションを行っています.
備考うず電流の影響を受けるため,電気抵抗率の高い材料の測定に向いています.
名前表面磁束計
(Magnet Analyzer)
メーカIMS
形式MTX-103L
概要磁石の表面磁束を測定する計器です.
名前自動走査型ディジタルフラックスメータ
(Digital flux meter with auto-scanner)
メーカ東英工業
形式 TDF-5 (DIGITAL FLUXMETER)
概要 磁石の磁束量を,自動走査し測定する装置.写真では見えませんが,この装置の上に,検出コイルとリニアモータがあり,検出コイル内を一定の速度で磁石を移動させます.その際に鎖交した磁束量をカウントする装置です.
備考磁石全体の磁束量を測定する際に用います.我々の研究室では,磁石表面の局所的な磁束量も測定していますが,その際は上記表面磁束計で測定を行っています.
名前BH アナライザ
(BH analyzer )
メーカ岩通計測
形式SY-8232(メインユニット)SY-921,SY-942,SY-928(メジャメントユニット)
概要10 MHzまでの磁気特性を測定する装置.コア状または薄帯状(薄膜)試料が測定でき,磁気損失,透磁率,及びヒステリシスループを測定することが可能です.パソコンとGP-IBを用いて接続しており,ディジタルデータを直接取得できます. メジャメントポッド(測定ポッド)が,コア状試料測定用(SY-921:Dc~10 MHz)と,薄帯状試料測定用(SY-942:10 k~100 kHz,SY-928:100 k~10 MHz)とがあり,測定対象に応じて,ポッドを替えて測定しています.
備考直流電源を別制御することで直流重畳特性やオーブンと組み合わせることで,数百度程度の高温下における磁気特性を測定できます(ただし,コア形状のみ).
名前BH ループトレーサ
(BH loop tracer)
メーカ理研電子
形式3C11, 3B12, 3S13, 3M14(制御,積分器,シャント,測定)
概要直流ヒステリシスループを描く装置.型式のところで示したような4つのパーツが一つになっています.コア状試料では,HコイルとBコイルを施した状態で直接ループトレーサに接続し,測定を行います.薄帯状試料では,付随するHコイル(ソレノイドコイル)とBコイルを利用します.数mHz程度で磁性体を励磁し,B-H曲線を描きます.最大印加磁界が5000 A/m程度でありますので,ソフト磁性材料のヒステリシスループを描くのに適しています.
備考AD変換ボードを介してパソコンに接続しており,各種演算処理はパソコンにておこなっております.基本的には,低周波用の積分器であります.
名前ガウスメータ
(Gauss meter)
メーカ東洋テクニカ(LakeShore製)
形式450型 ガウスメータ/テスラメータ
概要 磁石及び電磁石の磁界や磁束密度を測定する装置.直流・交流いずれも測定可能で,交流磁場では,実効値や最大値が出力されます.測定対象によって,プローブを替えることができます.GP-IB接続機能を持っており,測定値をパソコンに取り込むことができます.
周囲温度15~35 ℃(規定確度を保障), 5~40℃(確度仕様減小)
備考詳しい仕様は,メーカHPをご覧下さい.
材料創製
名前PLD装置
(Pulsed Laser Deposition system)
メーカアルバック
概要 レーザーをターゲット(膜にしたいもの)材料に照射し,イオン,分子,原子として放出し,基板に堆積させることで膜状試料を作製する装置.左図は,チャンバの写真であり,この中にターゲットと基板をセットし,付随する排気系で高真空状態(10-5 Pa)を実現します.その後,チャンバの窓から集光したレーザ(波長:355 nm)をターゲットに照射します.
備考チャンバが4個,レーザを3台保有しています.レンズやミラー等で光路を変更し,効率よい実験を行っております.
名前アークプラズマガン
(Arc Plasma Gun)
メーカアルバック
概要 大電流をターゲット(膜にしたいもの)材料に流し,イオン,分子,原子として放出し,基板に堆積させることで膜状試料を作製する装置です.
備考チャンバが4個,レーザを3台保有しています.レンズやミラー等で光路を変更し,効率よい実験を行っております.
名前電析装置
(Electro-deposition system )
メーカ北斗電工
その他の装置及び型式 ポテンショ・ガルバノスタット ― HA-151
クーロンメータ         ― HF-201
関数発生器          ― HB-111
データロガー          ― DQ5000
ホットプレートスターラー   ― SW-17HS
説明金属イオン(陽イオン)を含む水溶液中に,電極を挿入し,電圧をかけると,イオンが還元され,電極上に薄膜が形成されます.小・中学校で一度はやったことのある理科の実験のように簡単な作業で磁性薄膜を作製できます.また,真空装置を用いないので他の実験装置に比べてとても経済的です.
名前急冷薄帯作製装置
(Rapid quenching system of molten alloy)
概要 数mm径の穴を開けたガラス管中の母合金を溶かし,高速回転させた銅ロールに噴射することで,急激に冷却した薄帯およびフレーク状の磁性体を作製する装置.冷却速度が著しく速いため,合金は結晶状態にはならず,ガラスのような完全な結晶状態を持たない非晶質状態になります.
仕様ロール速度 < 50 m/s 雰囲気:Ar, He等(ロータリーポンプを利用したガス置換)
その他
名前計算機解析マシン
(Machine Systems for Computer Simulation)
概要 10台のパソコンとそれらを管理するパソコンで構成されています.大きく分けて,磁性材料の可能性に関して追求する研究と,実材料の磁気特性と解析の磁気特性のギャップを追求する研究のために用いています.
名前表面粗さ計
(Surface Roughness Tester)
メーカミツトヨ
型式SURFTEST SV-400
概要 試料表面の粗さを測定する装置です.
名前走査プローブ顕微鏡,磁気力顕微鏡
(Scanning Probe Microscope, Magnetic Force Microscope)
メーカ島津製作所
型式SPM-9500PP
概要 試料表面を微小な探針で走査することにより三次元形状を高倍率で観察する装置です.MFMは探針に磁性膜をコートすることで試料表面の磁気情報を検知し,画像化することができます.
動作周波数20 ~ 500 kHz
入出力範囲検波部入力 ±10 Vp-p
出力 ±10 Vp-p
画像変換部入力 ±10 Vp-p  12bit精度
備考表面が粗すぎる試料は測定が困難です.
名前示差走査熱量計 (DSC:Differential Scanning Calorimetry)
メーカエスアイアイナノテクノロジーズ
型式EXSTAR6000 DSC6220高感度型
概要 熱分析の代表的な測定技法一つで,試料の 結晶化,キュリー点,酸化安定性,熱変性,硬化,熱履歴,ガラス転移等の分析に利用されます.比熱の測定や純度測定にも応用できます.
温度範囲-150 ~ 725℃程度
昇温速度0.01 ~ 100 K/min
試料量最大100 μl (オープン試料容器使用時)
最大15 μl (密封試料容器使用時)
測定範囲±350 mW
感度1.6 microW
名前走査電子顕微鏡 (SEM:scanning electron microscope)
メーカ日立ハイテク
形式S3000H
備考作製した試料の表面観察に利用します.
名前エネルギー分散形X線分光器(EDX:Energy Dispersive X-ray spectrometry)
メーカEDAX
形式S3000H
備考SEMに取り付けた,観察領域の元素組成分析とマッピング,ラインスキャンが行える装置です.作製した試料の組成分析に利用します.
名前着・脱磁器 (Magnetizer・Demagnetizer)
メーカ日本電磁測器
形式MODEL SCH-25150 MD
印加磁界永久磁石は,作製直後は磁力を持っていないため,磁石にするために着磁という作業が必要です.その着磁を行う装置.磁性体に大きなパルス磁界を印加することで,磁石となります.
備考最大約7.5 Tのパルス着磁を行うことが可能です.
名前抵抗加熱炉
(Resistance furnace)
概要電流を流した際に,抵抗から放出される熱エネルギーを利用した加熱装置.ガラス管にひたすら導線を巻いた構成になっています.炉内に試料を入れ,熱電対,温度コントローラ,サイリスタなどを組み合わせ,導線に流す電流を制御し,炉内の温度を制御します..
温度範囲800 ℃程度
特徴 赤外線加熱炉と違い,急激に温度を変化させることは苦手ですが,均熱範囲が広く,出力変動が少なくなっております.
名前赤外線加熱炉
(Infrared furnace)
メーカアルバック
型式RHL-E410P
概要 作製した磁性体を真空中において熱処理を施すことで,表面の酸化を抑制しつつ,試料全体の結晶化を行う為の装置です.メモリーリレーを用いることで秒単位のパルス熱処理を施すことも可能です.
温度範囲20(室温) ~ 1400 ℃程度
定格250 V - 8 kW×3台,4 kW×1台