長崎大学 工学部 工学科 電気電子工学コース

福永・中野研究室

研究紹介

今後の発表等に影響の無い程度に,簡単に記述しております。

最近の研究内容に関しては,公開内容の調整中ですので,もうしばらくお待ちください.

計算機解析
Nd-Fe-B系磁石の保磁力改善に関する研究~計算機解析~
計算機解析を用いた硬磁性材料の磁気特性劣化要因の解明
電気自動車等のエンジン部で用いられるモータ用磁石は高温下にて動作するため,高い熱安定性が要求され,一般には,保磁力の大きな材料が熱安定性が高くなります.現在,高保磁力を得るために,NdFeB磁石に重希土類であるTbやDyを添加等が行われていますが,重希土類は資源的な問題や反強磁性的なスピンの結合による磁化の減少等が問題となります.そこで,重希土類の添加を行うことなく保磁力の増加をはかりたいという要望があります.NdFeB結晶の異方性磁界は5.6 MA/mでありますが,実験的にはその半分程度しか得られいないことから,本研究では理論値により近い保磁力を得るための設計指針を得るために,計算機解析を用いてアプローチしております.
PLD
PLD(Pulsed Laser Deposition)法により作製したFe-Pt磁石膜に関する研究
PLD法による白金系厚膜磁石作製に関する研究
歯科用磁性アタッチメントや医療用マイクロマシン等の用途にはmm以下のオーダの寸法を持つ微小かつ強力な磁石が求められます.加えて,高い耐食性も要求されます.本研究では,特に数nm程度の膜厚で優れた磁気特性を有し,加えて高い耐食性を持つFe-Pt磁石膜に着目しました.前述したような磁界発生源としての応用を考えた場合,膜厚としては数百ミクロンが必要といわれております.工業的には,高い成膜レートが必要となるためPLD法を採用しています.これまでの研究で,スパッタ法で作製したFe-Pt膜とPLD法で作製したFe-Pt膜では,随分とその様子が異なることがわかってきました.この違いを利用して,規則化温度の低減の可能性等を研究しております.
研究背景・方法・厚膜化に関する結果

PLD装置のターゲットと 基板付近の写真
PLD法により作製したNd-Fe-B厚膜磁石に関する研究
PLD法で作製した数十から数百ミクロンのNdFeB厚膜磁石に関して,添加物や熱処理法,成膜プロセス等を検討しております.これまでに,様々なことが判明してきましたが,特長的な結果としては,基板加熱の方法を工夫することで,高い成膜レートにおいても異方性の厚膜磁石が作製可能であることが判明したことです.左図は成膜中のプルームの様子を,右図にはその応用例としてマイクロマシン(東北大学,荒井先生と石山先生のグループとの共同研究)と摩擦力を利用した新しいタイプの薄膜モータ(九州工業大学の本田先生のグループとの共同研究)を掲載しております.
東北大学との共同研究
九州工業大学との共同研究

成膜中のプルームの様子
PLD法を用いて作製したNd‐Fe‐B系交換スプリング磁石膜に関する研究
高性能硬軟積層型交換スプリング厚膜磁石作製に向けた基礎研究

ハードとソフトの面積比3:1


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交換スプリング磁石は,分散型と積層型に大別できるが,本研究では積層型厚膜交換スプリング磁石の作製に着目し,研究を行っています.PLD法ではターゲットを回転させながら成膜を行う性質上,左図に示すようにターゲットをハード相とソフト相からなる複合ターゲットを用いると,右図に示すように原理上は簡単に積層膜が作製できます.後は,アブレーションレートとターゲット回転数から所望する膜厚に制御することが可能です.現在は,PLD法特有の生成物であるドロップレット(比較的粗大化した粒子)を低減させ,より良質な積層膜の作製を目指し,研究を行っております
その他(ハード材料)
NdFeB磁石の着磁および減磁シミュレーション手法の確立に関する研究
複合型永久磁石の熱減磁に関する研究
近年,モータの高性能化に伴い,希土類系磁石の消費が著しく増加しております.希土類系磁石の中でもNdFeBはコストに対する磁気特性が優れているため,広く利用されております.このNdFeBはキュリー温度が比較的低いため,温度の影響を大きく受けます.また,比較的長い時間高温下に曝されると,磁力が弱まる減磁が起こります.本研究室ではこの減磁量を予測する手法を提案してきました.現在は着磁から減磁予測までを一貫して行う手法を検討しております.また,ユニークな磁石の減磁に関して,解析と実験の両方からのアプローチを行っております.左図は,NdFeB円筒形磁石を120度で1時間熱暴露した際の磁石内部における減磁量の分布を示したもので,場所によっては6 %も減磁が起こることがわかります.
円筒形磁石内部の初期減磁の分布
その他
高性能透磁率制御軟磁性コア用材料の作製過程に関する検討
近年,パソコンや携帯電話に限らず,TV等の家電製品,自動車,自動販売機等も情報ネットワークに接続された社会が形成されつつあります.そのような環境下ではネットワーク接続に関連する情報通信機器は常に稼動状態となるため,それらで消費される電力は今後著しく増加すると考えられます.今後の情報通信機器の電力需要の高まりを踏まえ,電源回路出力部に不可欠な磁気デバイスである小電力用透磁率制御型軟磁性コアのコア材料に着眼し,既存材料の磁気特性を凌駕しつつ,そのサイズを半分以下にできる新規な材料を開発を行ってきました.その結果,ナノ結晶材料に応力熱処理で誘起される異方性を適用することで,高性能なコアが作製できることが判明しました.本研究では,コア作製プロセスに着目し,“より簡素に作製するには?”をテーマとして,新しい作製方法を提案・検証を行っております.
研究背景・方法・理論計算とよく一致する実験結果

米粒と作製したトロイダルコア
無電極ランプの発光効率改善に関する検討
無電極放電ランプは,従来のランプの大きな不点灯要因であった電極やフィラメントを用いない新しいタイプの照明です.その特長は長寿命であるということで,ナショナル製のEver lightでは公称60,000時間という点灯時間を実現しております.最近では,メンテナンス重視の市場で普及が始まっており,例えば明石大橋のライトアップ用や長崎のアーケードでも用いられております.ランプのバルブ内にはフェライトコアが封入されており,電磁誘導を利用して発光します.本研究では,この無電極放電ランプに関して,発光強度の解析手法を確立するところからスタートし,現在では等価回路のデザイン,コア材料やバルブ形状が発光強度に与える影響等を有限要素法を用いて解析を行っております.
研究背景・発光原理

画像をクリックすると 発光原理を表示します

長崎のアーケード
過去の研究
ナノコンポジット磁石の磁気特性の計算機解析
保磁力が十分大きい時,(BH)maxの理論最大値は材料の飽和磁化の2乗に比例します.そこで,ハード磁性材料と飽和磁化の高いソフト磁性材料を複合したナノコンポジット磁石が盛んに研究されてきました.我々の研究室では,マイクロマグネティックス理論による計算機解析により,ナノコンポジット磁石のポテンシャルに関して,様々な報告をしてきました.現在は右図のようなソフト相を針状にし,形状異方性を付与したナノコンポジット磁石において,ハード相の配向度,結晶粒径サイズ,ソフト相のアスペクト比,配置,ハード:ソフトの混合比等が磁気特性に与える影響を計算機解析により系統的に評価しております.
研究背景・方法
Terfenol-D/a-Fe型ナノコンポジット材料の磁気・磁歪特性に関する研究
Terfenol-D(Tb0.3Dy0.7Fe2)は大きな磁歪を持ちつつ,結晶磁気異方性も比較的小さいということで,バランスの良い磁歪材料として知られています.しかしながら,結晶磁気異方性が小さいといいましても10^5 J/m^3のオーダの大きさがあり,低損失化という観点からはこれを小さくしたいという要求があります.結晶磁気異方性を低減させる手法として,非晶質化やナノ結晶化が考えられ,何件かの実験結果報告があります.本研究室では,数年前から計算機解析による微細構造の最適設計手法に磁歪エネルギー関する項を加え,微細構造が磁歪および磁気特性に与える影響に関する検討を行ってきました.
大きな磁歪を有する材料では, 約20 nmの前後で急峻に 特性が変化
その結果,左図のように大きな磁歪を有する材料では,ある結晶サイズよりも小さくなると飛躍的に磁歪特性と軟磁気特性が改善するということが判明しました.現在は,Terfenol-Dとa-Feをナノスケールでコンポジット状態にした際に,磁歪・軟磁気特性にどのような影響が現れるかを解析中であります.
ポストアニーリングによる異方性NdFeB磁石膜作製に関する研究
スパッタリングによる異方性ナノコンボジット磁石創製に向けた基礎検討

成膜時のプラズマの様子


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多層膜+ポストアニーリング法により異方性のNdFeB膜およびNdFeB/a-Fe型ナノコンポジット磁石膜の作製を目標としています.多層膜による異方化や基板加熱による異方化に関しては報告がありますが,本研究では最終的にバルク磁石への応用を考慮して,ポストアニーリング法による異方化を目指しています.今までにNdFeB/Taの多層膜において,ポストアニーリングによって配向することが確認できており,現在はその配高度を向上させる添加物の模索および配向メカニズムの解明等を行っております.
規則-不規則混在型Fe-Pt交換スプリング厚膜磁石の作製に関する研究
Fe-Ptのスパッタ膜に関して研究を行っております.Fe-Ptは成膜直後にはfcc構造のソフト磁性を示しますが,熱処理を施すことでfct構造に変化し,ハード磁性を示します(規則-不規則変態).その途中段階の試料を作製し,規則相と不規則相の混在型ナノコンポジット磁石膜の作製を検討しております.NdFeB/a-Fe型のような異化合物(元素)のナノコンポジットではないことから,より強い交換相互作用が期待されます.現在までに,規則相と不規則相の混在は確認できておりますが,厚膜化を行うと基板から膜が剥離する問題が生じており,バッファ層の最適化や熱処理法の工夫等を検討中であります.
電析法を用い作製したCo-Pt系薄膜の磁気特性に関する研究
電析法を用いた白金系薄膜磁石作製における再現性向上に関する基礎検討
高い耐食性を有する白金系薄膜磁石を簡素な装置で創製することを目的とし,電解めっき法によるCo-Pt系磁石を研究しています.装置構成は右図のようにシンプルであり,試薬を溶かした浴,導電性のある基板電極,析出させる電位を制御する装置があれば,膜を作製することができます.スパッタのようなドライプロセスで必要な排気系を必要としなところも長所となっています.これまでの研究では,Co-Pt薄膜にて大きな保磁力を得ることを達成しており,現在は非熱処理プロセスに向け,Co-Ptをベースに添加元素,電析過程の検討や保磁力発現の要因に関する検討を行っています.また,再現性を得るために重要な点を明確にすべく,基礎検討を行っております.
研究背景・方法

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パルス熱処理を利用した添加物入りNdFeB系ナノコンポジット薄帯磁石に関する研究
同組成のNdFeB非晶質薄帯に熱処理を施した際のTEM像

通常熱処理 (一部結晶粒の肥大化を観測)

パルス熱処理 (粒の肥大化は観測されず)
本研究では,NdFeB/a-Fe系ナノコンポジット薄帯磁石の高性能化に関して研究を行っております.右図のように,我々がパルス熱処理と呼んでいる“短時間・高出力で非晶質薄帯に熱処理”を施すことで,添加物を必要とせずナノ結晶を得ることが可能です.このパルス熱処理と添加物を組み合わせることで,磁気特性の向上を目指しています.また,非晶質薄帯作製過程にも着目し,異方性ナノコンポジット磁石作製に関する検討も行っております.
研究背景・方法など